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 とたんにトーンダウンするのが彼女たち、義母の話になる時。遠慮もあるのでしょうがそこを忌憚なくいずれは話してくれるって待ってても中中出てはこない。こっちから持ち掛ける。旦那さんのお母さんと意見を合わせていくことは大変なの?って。すると二人は沈黙する。普通ならこれを機に一気に放流されたダムみたいに不満が奔流するはずが、見ての通りの聡明な彼女たち。嫌なことがあっても表には出すまい。この精神が見て取れる。自分は彼女たちと同列には並べないを強く確信するのです。なぜなら私にはもはや結婚の意味さえ、失せてしまっていた。尊敬する父は非業の死を遂げ母は原因不明で亡くなった。黄泉の国の父、喜一郎に謝ります。お母さんを守れなくてごめんねって。伊良林小学校に勤めていた時でした。兄はもっとも母親を大事にしていた。しかし兄に愛する人が出来て結婚して自衛隊にいく・・・というとき、相手のお母さんを優先した。素晴らしいと私は今は思う。当時は理解不可能だった。戦後、男ひとりの脇田家。そこを守る為になら彼はなんでもしたし厭わなかった。しかし後年、歳月を経て兄の行動は立派だったなと感動出来る自分に成長するのです。長年築いた家族との絆よりも新しいパートナーとのビジョンを選ぶことは男の選択として正しかったんだな。それを回想するのです。