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 僕が亡くなって一週間後の三月十六日、このホテルは開業している。ここには確か、銅座ダイエーがあった。階段を下がっていくところが風流だった。長らく銅座の台所だった。ここ数年ずっと何が出来るのか?みんながこの建設現場を見上げてはホテル開業を首を長くして待っていた。最高の立地だろう。この近隣ではかつて、行商人たちが路地裏の商売で賑わっていた。現在、ホテル一階にはココカラファインが入る。新地中華街の正門を前にホテルは建つ。このダイエーは姿を消したが近隣に新地イオンがあるので不便ではない。朝十一時まで滞在出来てしかも昼三時にはチェックイン出来る。このタイムラグがたまらない。十時に出ないといけないのなら、なんか、どこか、せわしいものだが、三時に入れて、翌日の十一時まで滞在可に時間リッチを感じるのは僕だけだろうか。そして延長も一時間出来る。ひとり千円だが、これも急きょ仕事をこなさないといけない場合、大変助かる。千円ですまほの充電器も借りられる。返却時にその千円は返金される。ドコモにもソフバンにもすべてのすまほに対応がいい。このホテルを気にいるのは僕にも分かる。人生で思い出を育む為にホテルは重要な手掛かりになる。梅月堂の12センチのショコラスペシャルで孫の五歳の誕生日を祝えた幸せを聞き僕も嬉しい。しかも僕の遺影の写真も一緒だった。こういう配慮があったからこそ僕は許せるのかもしれない。