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 まさかこんな時代が来るとは僕も想像だにしなかった。本というものはページを捲ってどこまで読んだっていう栞を入れる。それこそが日本のみならず世界的伝統だろう。しかしユーチューブが浸透し、世界をがっぽり替えてしまった。今一千万円持っている若者がいる。なぜそのお金が?コンビニの早期退職者に応募して四十代なったばかりで会社を去る。一千万は大きい。しかしこれを生活費にしていたらすぐ無くなる。早速スーパーに再就職。このお金が資本だ。十年しか勤務してなかったのにこの軍資金は有難い。何か起業したいな?っていうとき、コンビニは必ず挙がる。ピザ屋もだ。よっしゃ~~ニートのあいつも雇おう。そしておいっこや姪っこにも食指が動く。大学生になっていればなお好都合だ。みんな集めてコンビニやるぞ!って頭の中で想像するだけでも楽しい。この一千万円からフランチャイズの銭を引き残高は?それが増えるか減るか・・・丸三年してその明細が知りたい。経営力次第じゃない?ってみんなが言う場面になる。僕は懐かしむ。昔のコンビニではないスーパーが矢上旧街道には数軒あった。文房具屋さん以外にも小店があった。僕は今でも日の出飴を思い出す。高柳という文具屋の近くにあった。その飴は絶対入れ歯の人は食べてはいけないと一発で思う。入れ歯が外れてしまう位、粘着力ある飴で白い棒の形をしていた。人間の指の太さはないが長さはあった。黄土色の粉の中でいつもそれは僕の入店を待っていた。食べればハマるお菓子だった。しかし姉は余り好きではなかった。ちょっとしつこい位にいい味が、姉には苦手とくるから人生分からない。今思えば、そこはかとない生姜の香りがした。