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 "キャロル"っていう名前が姉の英語のペンネームである。この符合がこれからの姉の人気に拍車を掛ける。関与を予知する。ゲッタウェイのマックイーンの恋人がなんとキャロル。最後のシーンが観客に満足を与えた。メキシコまで何とか辿りつけそうな逃亡者の二人。映画の世界だけだ。犯人たちを逃してやりたい!!って観客が芯から願う。最後に出会った老人が、喜んで自分の年収の六倍の三万ドルという金額提示に乗って彼たちに車を提供する。どうやって帰るの?ってマックイーン演じる彼が尋ねる。いやあ、ご心配なく、どんな方法でも帰れる!!って。大金が入ったからです。しかし主人公も頭がいい。まず老人に去年幾ら稼いだ?って尋ねる。すると老人は正直に数字で答える。しかし今度は老人の方が足元を見て、エスカレートしてくる。値段を吊り上げる。逃亡中のふたり、ましてやウォンティッドの身の上。破格の三万ドルで落ち付く。彼らは幸せにきっとなっただろう。いや、所詮犯罪者・・・また金がなくなったら悪に手を染める?って。しかし映画の世界だ。僕達はいつの間にか、映画を観賞する内にも二人の身の上に立っている。この真面目な錯綜がいい。現実と倒錯している。なぜだろう。若い年頃の二人だからだ。是非とも家庭人になったら幸せになるってその老人も言葉に込める。そこにはエールはある。絶対に金がなくなっても悪に染まってはいけないよ?って言うのも憚られる。二人は熱い。そんな先のことまでまだ考えてもいない。