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 あなたにはファッションセンスがあるんだから無理して早急に向かない仕事を決めたりしないようにね?って母はなるほどとは言えない案を僕にぶちかまして来る。理想論ならまだしも母の場合、自分を完全に文人に見立ててのアドバイス。僕としては滑稽を超えてコミカル。みんなも想定してみると面白い。例えばF1に出たこともないのに、レーサーのような口ぶりなら、それは逆に観客をこなしたのか?そこが挙がる。しかし母は本を全く読んではいない。幼い頃、偉人伝や童話集を読んだっきりで僕としてはそこが懐疑だ。本を一杯読んでそれが蓄積されて心が伴っているのが読書人。そしてそれらを超越してくるものこそが文人だろう。母の場合自称だ。自分一人が認めている。自分一人でよがっている。それならヨガを極めて欲しかった僕だ。僕にとっても最愛の姉がいきなり癌を宣告されて僕にも煙草禁止令が母から通達される。肺がんではないのに煙草も関係あるって譲らない。きっと兄弟みんなが止めるように神からの伝言なのよ?って。母が言うと本当のように聞こえて蒸気式の僕でも戸惑う。仕事もなくて煙草吸っているのも非常識だと思えて来る。しかし医学は進歩している。姉の全快も期待出来る。そこまで落ち込むことは無さそうだ。母も、これまで働き過ぎたのよ?ってゆっくりするようにと姉をいたわる。これからはそれを理由に家事も適当にさぼるのよ?って。母にはゆっくリズムを常に貰う。人生は最後の最後、人様に分かればいいっていう道理らしい。