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 一年に六千円支払う町費制から脱却したあいつを僕は偉い!!って手放しで喜ぶほど馬鹿じゃない。つまり、これは町、市、県、国と順次繋がる民生ネットだからだ、しかし僕はそうは言ってはおれないっていう、あいつの窮状を目の当たりにする。これは金がないとか、そういう種のものではなく、性善説タイプのあいつの変貌だと嬉しい方に理解した。その方が良さそうだ。っというのも敬老の日の幕の内事件だ。僕が酸素チューブで出席出来ないなら出来ないで、家まで配ることは無理としても、家の誰かが獲りに来れば渡しますよ!くらい気配りがあったなら、あいつも脱退は考えてはないだろう。健康な者だけ参加して酒を酌み交わし、しかも弁当は病状のある人に配らない。これでは脱退されておかしくはない。しかもこの町会、貯蓄までしている。俺は毎年決算報告書に目を通していた。まるで自分達のトラの子扱い。しかもお人良しのあいつが怒るのは珍しい。しかも役員には法外な手当て与えている。俺達が引っ越してきて数年は月に三百円だったのがいきなりワンコイン徴収になった。しかし敬老会のお弁当、川徳の分が捨て難くて、あいつはずっと班の仕事に携わって来た。しかし弁当を取りに来てもいいですよ?のお声など掛からなかった。元気な者だけがカラオケ?あいつもたまには出過ぎたことをやる。これは花丸事件だ。性善説型のあいつが、性悪説型に鞍替え出来たこの事件、すべての突破口になるだろう。