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 僕は小さいことに拘って、身銭を切るよりももっと酷い、ドケチ振りまで陥落していた義兄をお手本にだけは出来ない。命の洗濯のようなものが誰にも必要とそこを譲らない。しかし一旦外に出ると分かる。苦労をして実際に金のない苦しみを味わえば義兄の言葉が、滲みて来る。それみたことか?!となって君臨する。節約の極意を掴んでいた人物をいかに評価出来るかで今後の人生もそれぞれ変わってくる。僕は義兄にはいいとこも一杯あったと前置きしながら、自分が家庭を築くのなら?っていう設問に立って口語したい。豪語にはならない。家庭を持った経験がないからだ。実は僕はお金にちみちみしているのが男らしくないと感じていた。さっそうとした金持ちのジェントルマンに小さい時から憧れていた。しかし現実は惨めなものだった。僕は家庭を持つどころか自分の口さえ賄うことが難しい超老齢に差し掛かって今・・・苦労は承知していたものの、中々抜け出せない状況だ。しかしいいこともある。姉が税金未払いを支払ってくれたお陰で堂々と自分の家に棲むことが出来る。良好な環境が出来たこと、何も足かせ家かせがなくなっていることが有難い。あとは自分の身の振り方ひとつだろう。こつこつと働き、父が建てた家を自分の手で補修する。以前僕が自分の家を建てた時、大工と一緒にトンカチ打ったように・・・。こういう朝は珍しい。僕もひろみのようになりたいと言えば僭越過ぎる。しかしそれが正直なところだ。