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 里子は11年も前に葉書と印鑑を作ったことのある印鑑屋を訪ねます。やはりテンショ体の烙印が必要になっていることにみずから気が付く。しかし瑠をあえて排除します。これは石を意味していて、ずっと石として誰からも見向きもされなかったことも含め嫌悪します。瑠姫ではあるけれどすでに石ではない!!里子なりの拘りでした。印鑑屋は笑顔でもう一回作りましょうって弾んだ声で呼応して里子は夢じゃないの?ってまず思う。ハガキは受け取ったものの、印鑑は注文してその後一回も行かずじまい。連絡も無しで受け取りに行ってない里子を、その場で許してくれたのです。この一件は物凄い極みで叱られて当然だと思っていただけに恐れ入る。時間の積み重ねが許す心を倍速させたというのでしょうか。里子はこの烙印を姫としたのです。もはや石ではなくなって人間として取り扱われるという兆しが幽かに見えて来た・・・。なぜならみんなの表情が明るいのです。娘たちも息子たちもお母さんが倒れないようにしてくれたらそれでいいんだよ?って。伴侶が黄泉の国で寂しがって私を呼ぶ可能性を恐れているのです。なぜなら伴侶は小学校三年生で母を亡くして明治生まれ父親の手で厳格に育てられた。その父親は再婚もしなかった。黄泉の国で母、竹代と再会を果たしても、今度は駄々をこねている可能性大!!里子はパートナーの母親役もこなしていたのです。