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 これまでは恩恵に浴していた。その恩恵こそが家賃無料だが、その引換のようにやはりそういうタダっていうのには精神的なもの、抑制作用もあることは重々知っておくことが大事だろう。ただ、時間中働いて身銭を切ってお金貰えればいいってもんじゃない。僕達は感情の動物だからだ。しかし無料だった時に比べて今度から車庫費用入れて六万円の追加出費は僕にとって決して小額ではなく、一日にして二千円の増額。こういう場合、どこで帳尻を合わせるか?そこが大問題だろう。煙草?これを止めれば僕ではなくなる。弁当をもっと制限する?いや、今でさえ、五十キロない僕だ。それなら彼女に半分支払ってもらえば??この案が最初からあったにも関わらず、僕はとうとう言い出すことが出来なかった。なぜなら毎日一緒ではない。彼女にはちゃんとアパートがあって実家もある。それなのに僕は半分をおめおめ請求出来るだろうか??母にもそこはこっぴどく叱られる。ケチな本性を悟られてしまったらあんたは終わるって。僕は所詮親父のコピー、心の襞も同じで怖くなる。どこまでも倹約に走る傾向が今すでにある。ころころの替えがなくなると途端に心配になる。早くセリアで揃えないとって・・・。部屋の片付けが上手い男には要注意だ。必ず副作用がある。それはドケチ。僕がその仮面を部屋のどこかに隠していることをすでに彼女はお見通しのよう・・・。しかし僕がそのお面を否定してしまっては今後貯蓄は出来ない。