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 僕はインフルエンザに息子が罹患し、あと一ヶ月は姉の家に来たくとも来れないっていう長女の話を聞き、なんていう姉の気落ちだろうか?と一瞬は落ち込むがこの一ヶ月をバネにしてしたたかに歩みを盤石にするであろう姉の野心も見て取れてそこまで心配はしていない。そこで長女は素晴らしいことをのたまうのだ。何でお父さんは戒名に拘るのだろう。祥月命日にはかならずお上人〔しょうにん〕さんを自宅に呼び供養しているような家ならわかるけど、お父さんは普段から浄土真宗を信仰しているようには悪いけど見えない。なんでお金を出してまでそれに拘るの??って。僕もそこは同感だ。人はあの世に行ってもそういうので格付けされる?って疑心暗鬼になっている訳ではない。しかし戒名を持っていないグループに仕分けされそうで心もとないという義兄の黄泉の国でのすったもんだがどこかで理解は出来る。もともと常識を教え込まれるバンカーでそこで凌ぎを削って定年まで勤めあげ今日まで奥底で残っているものとは何だろう。物書きの観点をくすぐるものだろうか。バンカーの世界にロボット軍団が侵入して来てたちまち世界も一変してしまうのだろうか。人情も切り売りされて質屋に、もしうかしたら人情の花瓶や掛け軸が溢れんばかり集まるのだろうか。銀行には由緒正しいものが陳列された。それらの価値を誰が慮るのだろう。そういった意味で姉はいい位置に付けた。彼女の価値は誰が決めるのか?その答えを握っているのは国民だからだ。