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 僕は小さい時からどきどきするのは嫌なくせに変化は好きだった。例えば、運動会。みんなが体育会系をどう思うかは別にして、僕は常に一位。後に姉は僕がへん平足でも一位だったことを変な顔で見ていたが、偏平足だから遅いだろうは思い込み。母が極端なO脚だったにしては、僕にはかき道の血筋が遺伝的に繋がってそれは嬉しいことだ。かき道人は足が速い。そして、もともとペーロンの盛んな場所で以前からペーロンと言えばかき道。僕らが小さい頃からペーロン大会の季節は活気が倍増し。僕にも沢山の友人がかき道〔どう〕にはいたけど、ここは別に小学校中学校が開校でみんなが橘小学校、中学に行くようになって東長崎中学との分離がなされた。僕は運動会が大好きだ。やはりヒーローになれるからで、姉はトイレに隠れて順番が来ても中々スタートラインに並びたくもなかったろう。しかし義務教育の昔の現場は厳しくて、遅くてもやはりスタートしなくていけなくて姉は嫌だったに違いない。ピストルの音もやけにかまびすしい。僕に、照る照る坊主ではない、もうひとつが欲しいよね?後の世の中に出来ないものだろうか?って打診して来た。こいつは漫画家になれば?って思った位だ。雨雨坊主が欲しかった姉は走るのがとことん遅かった。どんなに夜遅くまでグラウンドで練習してもダメだった。今でも僕は五十メートル走、1962年生まれ同年代男子の中でピカ一だろう。天は二物を与えず。それが僕の場合顕著に出過ぎた。