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 エメラルド・ウーマンは里子という女性が題材でしたがもうひとりの自分、なりたかった自分も関与で表と裏。容子が表だとすれば平凡な里子こそ裏でしょう。表の容子が浮かばれなくとも、里子はこつこつ闊歩していきます。世の中の娑婆路線ですが生き方や感じ方によって人生に差が出て来ます。このコントラストを見て頂きたい。里子は自分が望む通りに離婚出来たのに幸せを感じないのです。それは嫌なことから逃れるだけの離婚だったの?って後からかなり迷います。迷宮とは結婚に於ける離婚を指すのか?それとも全く違う世界での酩酊的逸脱行為なのかはっきりしません。個人差もあるでしょう。里子は思い切って望みどおりに離婚した引き換えに、孤独を入手してしまいます。誰もいないコンサート会場の切符です。悲しいけどそれはみずからが選んだ道??世の中のせわしい報道や週刊誌の中ではまるで離婚は自由の闊歩みたいに描かれていたことに思いを馳せる。しかしあのまま離婚しないでいてもね?っていう見極めは確かにあったのです。最高の幸せもないけど、最悪の落胆もない。ないないモードも覚悟でここまで来ている。片方の容子は生涯で一回離婚経験していますからそこでエネルギーをどれだけ消耗してしまうか、悟っていた。だからこそ、物語の中の里子という自分の分身には離婚を成就させて様子を見計らっている。どこにもある話。普遍であることが救いですね。