Ss283

 姉が苦労したのも分かる。フィクションとノンフィクションの間を流れる川を実際に見る為に舟を漕ぎだしてみたのだと・・・。僕にもそこは想像がつく。最初はアクアマリンマン、全くの創作だったのに段々と僕に酷似してくる。そういえば?アレっていう具合に・・・。恐らく姉の目にははっきり識別できるのだろう。この文章は誰がモデルになっているとか、モデルなしでもおおまかには次のようなことが言えるだろう。自分の経験というドロア引用だ。姉が引き出しを一杯持っている・・・そこでの脅威を僕が感じる。相当の段差になって僕は駆け上がれない。崖っぷちよりも凄い段差。どうやって昇るの?っていう憔悴と落胆。老人夫婦が中々クーラーのメンテナンスが出来ない実情とも合致する。高いから脚立欲しいけど脚立は外に置いている、しかも重たい。こういった難儀も姉の頭を駆け巡っていたに違いない。しかしある時、僕は決定的に違うな?っていう一ヶ所をアクアマリンに見つける。彼には通常の生活が出来るリズムや巷に自分を置ける安心な独自視線がある。しかし僕にはない。僕の魂は常に浮遊しているような錯覚とも言えぬ、現実がある。人懐〔なつ〕こいようで、人を本心から信じてはいないのかもしれない。僕は長い間、暗い檻の中で冬眠していたクマのように麻酔銃に弱い。それを打たれると恐らくどこぞに運ばれて取り調べを受ける。僕は自分の身を守る為にメンタマをしかと開けて生きている。