Ss282

 僕はこの話を聞き、心がおでんに入ってくる餅のように温かい気持ちになってしまった。なんと夜勤の女子が自分の娘と同じ位の女子。こてんこてんに教育されて、この人、ここまで言う?言ってもいいの?って落ち込んでいた時・・・一人用の小さなおでんのパックに何が入っているのかまだ開けてないから解らなかったけど・・・廃棄だけど要るならどうぞ!!って揚げものの台に置かれて持ち帰る。早速、車で見たらなんと・・・巾着餅のおでんが一個入っていたという。その夜、時間中のおでん廃棄は五個ほどあって、もったいないと判断したのだろう。姉はその餅の柔らかさに感動し、それと同時に彼女のクールな教育方針の裏にある若者独自の優しさに感動したのだという。何しろ向こうはこう言ったという。こんな若造の私に、あれこれ言われて、くやしいとか思わないんですか??姉はうなだれてその後黙りこくってしまった・・・。それが姉らしくて僕は好感した。誰だってコンビニの床に63歳になって這いつくばりたいとは、思わない。しかしお千代ちゃんが歌ったように人生いろいろで色々ある。働くことになったのは銀ひらすの西京焼きのせいと聞き、僕は腹を抱えて笑ってしまった。食べ物の為にはどんなことにもチャレンジ出来る。この老女、気に入った!!もしも地球から食べ物が突然消えてしまったら??どんなに辛く寂しいだろう。