Ss271

 僕達のキーワードの究極は、食い繋ぐ・・・この五文字に尽きると思う。あれこれトッピングしたりソースを選んだり、姉には出来るとしても、僕に選択の余地はない。小さい時からいつも姉は恵まれていた。顔も全然良くないのにみんなに支持される。それは仲介を買って出たから?と幼な心にもそこは見えていた。この一点は大きい。舅女たちは母の仕草のすべてが気に入らない。こてんこてんに母をなじり合ってその渦中にあっても、祖母タヤだけは母を悪く言った試しがない。このことが僕には脅威に映った。あれだけ母にしかとされても、自分のこしらえた逸品を懲りずに運んで来たのだ。こいば食べてみんね?って。階段を上がった二階が僕達の住まい。下には住人が四人はいただろう。僕は母が忌み嫌い返事をしないのに姉がそれをありがとう!!って階段のとこまで行って受け取る姿にどこか大人の接し方を見た。母はなぜ毛嫌いするのか?それ以上に姉の当たり前の動作に刺激を受ける。対立する両者の中に立って姉はそれを誰にそうしろ!!と言われたのでもなく、すんなり動けた。両者の気持ちが手に取るように解ったから?祖母の気持ちには寄り添えない母の心の病い。ここを論じることは戦後を解明する上で大きなヒントになるだろう。母は誰にも頭を下げなかった。最期まで自分の生き方をまっとうした。誰に習った訳でもなく母にはそれが出来たのだ。