yd990

 僕にも存外なことが起こる・・・。絶対にレジ精査なんかしないって決めていたのに、掃除機を掛けて二回の床拭きが終了すると店の中が人っ子ひとりおらず、神妙な面持ちになる。ああ!!金曜日は掃除機の中身のごみを丁重に捨てて布製のフクロを外でパタパタやらないとって店外で作業。僕に幻滅したあの先輩は休みで、僕は急激に自分の能力の無さを挽回したい思いで漲るから不思議だ。先輩はトイレ掃除と焼き鳥の準備も終わって、センター便の点検をしていて、声を掛ける。僕、今日は両方のレジの精査に入る積りですが今から取り掛かってもいいですか?まだダメよ~~レジの計算は夕方五時くらいって、習ってないの?い、いやあ、そうでしたね!僕は何を言っているんだろう,,,,。なぜ、苦手なことにあえて挑もうとしている?って。向こうが僕の十倍速い。速いから相手にそれを任せて自分は別の仕事に精を出すべきって。しかし昨日のセンター便は山積みで、そう簡単に終われそうにない荷物。空になった番重を積み終わって出る時もドアの天井に引っ掛かって、つんのめりそうになる先輩の姿。そんなに頑張っている先輩に速いからといって安易に任せることは出来ない。僕は切手や葉書、収入印紙、クゥオカード、テレフォンカードの枚数確認を終えて、レジ近辺のゼンチンを終わると、早速揚げものや肉まんを確認、スプーンやカップを補充して五時になったらすぐレジ精査に掛かる。エンゲルスを取り出し、レジ上に立て掛けて、来るお客に対応しながら積んだ小銭からお釣りを出してレジをこなす。そうしながらどっちも終了する。金庫点検はその前にすでに終わっていた。それ位昨日は顧客が閑散としていなかった。僕はエンゲルスを発明した人が優秀だけではなく、後の世の中をちゃんと見ていたことに驚愕する。この中に収まる人生こそが最高の人生に匹敵するのだ。一円から五百円の棒金全部を集めた総額。その範囲内で財を成すことこそが真のサクセスかもしれない。