Ss219

 文句のひとつも言いたくなる経緯だろうか?いや、僕はそうは採らない。僕は雪に埋もれたサファイアだとそう比喩した姉の心根を僕は看過出来る。普通なら僕は宝石についてなんて考えない。これだけの崖っぷちには、身分不相応だからだ。しかしそのぷちも小さく思える姉の思いやり。姉は間違いなく僕を人間の宝石だと思った・・・。だからこそスノーサファイアを立案したのだろう。しかも埋もれたっていう形容英語がない。スノーサファイアというのは実はスキーの時に掛けるメガネのことで姉は格好よくスポーツ万能の僕に掛けた。仕掛けたと言っても過言ではない。僕の筆力は皆無なのに姉はそこをカバー出来ると思ったのだろう。文盲の人間にも活路を与えていかないことにはこの国の埒は開かないって・・・。姉の親切は親切ごかしではなく、親切動かしだろう。僕は弟だから素直に対応出来る。本当の文盲が誰なのか??きっと姉に目星は付いているものと思われる。権力に阿ることにたけた連中の幕屋だろう。そこで政治に密着し小金を作る。評論に呼ぶのはいつも同じ顔ぶれ。執筆陣は不動なのだ。政治は国の中枢だが取り巻きは違う。まだ、そこにさえ気が付かない連中の心象をすでに掌握している。日本にもしも忠臣蔵のような義理人情の世界が出来るとすれば、それが中心蔵だろう。僕はそこまで及ぶことが出来る人間へ成長した。僕の頭で培った思想を姉は搔い摘んで解説が出来る。僕は文盲で良かった・・・と思う瞬間でもある。