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 僕の部屋から一旦退去したかに見えた蟻たちが、又帰って来た。全く嬉しくはない。せっかく冬眠したと思いきや、又僕の部屋に戻って来たこの因縁が実は僕のチャンスになっていることを後で知る。なんと飲み残しの缶コーヒーだが、そこに蟻が全くいないのだ。これは何を意味しているか?というと蟻が溺死の危険性をキャッチ出来るという証明だと僕は見た。普通なら甘いそのカフェオレの液に群がって蟻は来るはず・・・。しかし蟻にとっては溺れるだけの水位は見て取れる。感受性はおろか、危機管理能力を蟻が持つことを僕に明示してくれた。周囲にある匂いのある紙きれに蟻は集合している。黒豚肉まんを包んでいた紙だが蟻はそこに付着するすべてを持って行く。女王蟻に厳しく言われた可能性?これだけでは足りないわよ?ってつっつかれてもう一回、僕の元を目指したこの蟻たちがいとおしい。誰だって自由気ままに生きたいのだ。しかしその自由度は各人違って来る。そもそも女王蟻はいつなんどき、女王に認定されたのだろう?しかもそれをなぜみんなが受け入れたのか?受け容れなければならないひっ迫があったのか?蟻独自の触覚で女王を見極める力を個々に持っているのか?女王であることを全部の蟻が否定しなかったからこそ、再度調達にこうして僕の肉まんの紙を目当てに来ている。それは僕が初めてファミペイ五十円割引クーポンを出して購入した黒豚肉まん。店のマスターもレジを操作しながらクーポン操作はどうやるんだったかなあ?え~~とバーコードか?って。オーナーも操作が完了し僕に肉まんとお手拭きとタレを渡す時は満面の笑みだった。