Ss194

 守銭奴という三文字にぴったりだと義兄のことを誰だって最初は思う。僕も金に細かい男は嫌悪の対象だと若い頃好きになどなれなかった。よく、姉貴はこんなドケチな男と一緒にいて人生が楽しいのか?ってよくよく見ていると姉貴は相手を立てることが上手なこともひとつのカリスマで、その術を実は僕も持っている。人をいい気モチにさせるには言葉が挙がる。まあ、しかし程度もんだろう。余りに褒めても逆効果を炙り出すことはある。真の人格者ほど、そこが敏感だ。精神レベルが高いことと、学歴は全く正比例しない。この辺が抜け目だった。明かされない混在の中日本の有識者たちはトップを目指して来た。しかしこの先、どん詰まりが予想される。自分の定義で物を言う人間ばかりになれば後輩を伴えないのだ。どこかに確固とした信念がなければならず、そのばらばら感がばらつきに転じて日本をまとまりのないルーズな民族の定位置につかせている。大事なのはダイナミックな論争ではない。真実と向き合う勇気だと僕は思う。この国で勝ち組とか負け組とかリーズナブルな分け方があっても誰もそれを信じられなくなってくる。そこまで堕ちる前に、真実と向き合う勇気が不可欠だと僕は引かない。誰もが毎日をそつなくスルーしたいのだ。しかしスルーが許される問題とそうでないことの違いを大人なら誰でも指摘できる。そういう民族で僕らはありたい。