Ss185

 僕は謎めいた人物として自分の姉をまだ、認識はしても把握まで至ってはいない。姉の言動は普通の主婦のようで、実は大きな文人としての動脈と静脈をいつも呈していて、これを一回発見したら、会話の面白さに嵌まってしまい収拾が付かなくなる位に時間が破壊される。なぜ?どういう現象なの?ってみんなが思うし僕だってやみつきにならないように接触を控えているというのが現段階だ。きっと僕の今のどよめきに似た当惑こそが姉の正体にごく近いものだろうし、やみつきになる魅力を持っていながらそれを賞味させない、つまりガードが堅い。このことに僕は脅威を抱いている。人の心が見えるといってもいいだろう。僕の未熟な感性など、カワイイ破廉恥など、姉には事前把握だろう。滅多なことでは姉の前に出れる器では僕はまだないな!?を自覚している。自分自身をガード出来る人間は人類にもそうはいない。姉は生まれつきの運命をこの国と共有している稀な例だろう。僕はそういう姉を持ったことを誇りに思っている。しかしそれをまだ、姉の前で吐露したことはない。姉を褒めるということは同時に己を褒めていることにはならないだろうか?同じ両親から血を分けられた地球上のたった二人の姉と弟である。しかし時間と言う砂煙がそれらを消していく・・・。砂嵐といってもいいだろう。膨大な時間を消耗させた時空も虎視眈々と二人の将来を見計らっている。