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 僕らが考えて来た、いい国に於ける発想はどこまでも平等で、しかもユートピア精神に溢れていたはずだ。この気持ちを繋いで行けたらが僕の本望で、それはしかし、政治がまるで液状化し劣化を伴っていくことではなく、かといって、がちがちの気迫で憲法の改正などに手をこまねることでもない。僕の直感は当たる。この国に欠けていたのは気合でも正論でもなく、各人が積み重ねて来たものの博覧気質だとそこを思う。そういう気運になって来れたのもひとつひとつの積み重ねに頼る部位が大きい。スタンスになっているものが政治でも文化でも無かったとするなら、僕らは今ただちに、失ったものを探さないといけない。そういうジレンマにも襲われてしまうのだが、日本手帳だろう。四文字として仮名称で僕は手懐けたが、日本をニホンとそう呼ぼうと思っている。欧米をお手本にして民主主義に邁進して来た積りの僕らにも手落ちがあった。そしてこの手帳をみんなが心に取り戻して振り出しに立つ。この戻った過程を見て僕も溜飲を下すだろう。世の中の平均が年収二百万円の国でも幸せだ!!と感じる国民になろう。豊かさを心に求めよう。口で言うことは簡単で実行は難しいのならまず口に出してみるのも悪くない。遜色のない僕らの国を念頭に君等の仕事は既に始まっている。