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 その91歳の女性はまるで私が夢見るような老後生活を展開していて、週に一回は皆と一緒に食事を採るのです。ワンコインで出来る食事でそこには同じ位の年齢の方々が一緒に居合わせ楽しそうに懇談しています。この週に一回の食事、兼集いが醸し出すプラス要素は大きくてきっとこの女性の一週間を締めく括るものもなんだなあ♪は推察出来ます。私もこんな場所に毎週行きたい!!って強く思ったからです。日常の些細な会話が大事なのです。その時に交わす言葉も重要で、何気ない日常の会話の中にスパイスが含まれその一週間を実のあるものにしているんだなあが見て取れるのです。その女性は夫に先立たれて年金だけで生活しています。収支は決して楽ではないし、ちらっと見えたのは二ヶ月に一回の年金ですが計、20万円ないのです。公のアパートで家賃が安いことが救いかもなあって。しかも女性は手作りのおかずを余分にこしらえては近所の仲のいい女性宅に運んでいます。なんという律儀で質素でしかも優しい女性だろうって感動するのです。引きこもりにこういう方はなりません。いつも前向き、人向きだからです。その女性は自分の命綱はこれなのよ?ってマイナスになった預金通帳を開いて見せるのです。ええ??私は実はこのマイナスの意味がバンカーの妻であったにも関わらず理解出来ず、伴侶に尋ねます。どうしてマイナスなのに生活出来てるの?って。彼は微笑しながら定期を預けていればそこから借入が出来るんだよって。私は眩暈がしてきます。自分から借り入れることが出来る??って。その定期預金、二百万円があるから彼女は明るかったのです。