僕はこれまで、自身が身を投じて実際に踏ん張って来た者だけが、日なたで脚光を浴びた者だけが、特別の経験的視座を培うとそう思ってきたのだが、桑田真澄解説者の深いい解説に恐れ入って、彼が経験した大リーグの風こそが、ほぼ真実に近いのでは?と思っている。年齢も遅くなって彼は大リーグへ行き、そこで経験したことは、例えばチーム優勝に関与する程の貢献度にはならずとも、三つの面で有効だったと僕は分析する。まず第一は投手の臨場感だ。ここまで及ぶようになれた彼の洞察力は見事で、投手の心象に彼がみずから優しい切り口で介入するとき、他者は何も言えなくなる程に納得する。なぜ、ここまで人の心が見えるのか?なぜ、自分がそこにいる訳でなくはっきりこうだと言えるのか?僕は彼が日本の中にとどまったままでいたら、このような特別解説者にはなりえなかったとすかさず思う。アメリカにはやはり〔何か〕があるのだ。日本は日本だよ?っと横柄にならず、もっと真底を僕は探りたい。彼らはなぜ、記録を数々考え出すのだろう。例えば、ヤンキースのあのフレイジャーがホームランを打った時にはチームは負けてないとかいうものを即座丁寧に記録化、伝説化していくことにたける。その能力が僕は好きだ。話題性を陣頭に置くからこそだろう。