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 いつも能天気に生きている僕も起爆剤のような興奮的刺激を禁じえず、今までの生活を少しでも有意義にしていくヒントが白い巨塔にはあった。それぞれみんなが自分の仕事という現場を持っている。その中で年に一回は定期健診を受けているが、そういった些細なことが極めて重要だという旨がはっきりした。僕は自分の余命について鑑みる。西暦1962年、五月某日、寅年生まれだ。同窓生の皆はまだしっかり職に就き僕のようにぱっぱらぱに暮らす者はほぼいない。親の仕事を受け継いだ者も技能という手に職を付けて、これから七十歳までとは限定せず、働こうと思っている輩ばかり、その腹は見える。なぜここまで働いていかないといけない?とは思わない。彼らの考えは堅実で、何もかも政府に照準を合わせ帳尻まで合わせる清貧な生活。その暮らしぶりを傍で見る限り、誰一人としてふわふわしている人間はおらず、僕もその一人になるかもしれない。物書きという仕事は不可思議な分野で遊び人のように捉えられることも多い。収入が無ければなおさら、遊び人に輪を掛けた人間なんだとの思いこみは激しい。しかし僕はそういう世間の評価的違和感、僕に向けられるマイナス視線にもじっと我慢出来るようになった。平常心とはこういう強さであり面の皮を言うのでは?と最近はマイストーリーを世界へ向けて配信している。