徳光さんの発言の意図は全くとんちんかんで笑ってしまう。お金は入って来なくていい。大谷が今日は２安打一打点で俺の溜飲は下がった。１割9分をようやく突破で、確かに打率には拘わらないとは言ったものの嬉しさを隠せない。彼がバットを持って打席を待っている姿に惹かれる。ソワソワしている訳ではないが、若武者特有の、よんどころのない鼻息が伝わって来て俺を刺激する。みんなが待ち望む一発も近まった。でっかい奴だ。大谷は小粒の打者ではない。ホームラン率の高い打者だ。ヒットの中身に拘ればその魅力は半端ない。俺はある女子がこう言った時に頭をガツンと叩かれた衝撃を感じる。大谷って犬に似てるって。しかし俺は暫くしてその発言を許す。犬の嗅覚の凄みを彼女は表現したかったのだ。そこが理解出来て俺は逆に彼女を見直してしまった。
