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 翁が昨日、親和銀行で入店祝いを支払ってくれた。一緒に行って私の口座に振り込んでくれた。良かったですね~~でも何か気に掛かるのよ。あんなにケチだった人間がいきなり10万でしょ?なんか天国からお迎えが来ているのではないか?って自分の心が迷走していくのを禁じえない。翁はマレさんに感謝の気持ちを表す為に、十万円のお祝いを考えたのでしょうか?いいえ、違うと思う。きっと一回ぐらい、私を喜ばせたかったとそう思う。私なりに想像していくと怖くなるのよ、今日、バイト終えて家に戻ったら、玄関まで私がポストから引いて来た新聞さえ読んではいないのよ。しかも顔の表情がお金で悩んだ時の引き攣った表情からは離脱して、微笑みがまるでキリストのように安らかなのよ。彼がなぜそうなったか?そこはどう理解されているんですか?病名は分からないけど、神がいっときの内にも翁を廃人にしてしまったのよ、だけどその割には、彼は金銭の呪縛から解き放たれて、充実した面ざしで私を見つめるの。どう理解したらいいのでしょう?彼には金銭の占有率が人生に於いて無意味なことが分かったのよ。きっとそうだという確証は?私への十万円授与でそれは証明された。どんなにお金があっても、人は幸福になんかなれないっていう男の法則を彼は証明した....。マレさんは証明手続きを?ええ、私、今、厳かな気持ちで翁を見つめている。今日だけは狂歌にしたわよ?いいでしょう。君と言う 妻と闘い くじけしを 誰をか責めん 桜は満開☆君は時に男のように見えた、君〔くん〕で呼んでもいい位に☆