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 どんな家庭で育ったのか凡そ想像が付くポイントを掴む瞬間があって、それは名前にとのがあることで、みんなに殿ってニックネームで呼ばれていたと話す。それも笑顔で。私には彼の社会性が見えたことに安心するのです。結婚してどんな家庭を築きたいかというのも、そこであらかじめ見えたので確認するまでもなく、彼は堰を切ったように思いのたけを話してくれる。流暢ではない分、新鮮味があって耳を澄ませる。私の子供たちは暫くはご両親に預けて欲しいって、彼の優しさからすると、真反対の考えに聞こえてしまいそうな意見も、私には不快感はないのです。甲斐性がない僕だから出来ないことは出来ないって、最初からはっきり言う性分だと聞かされ、なるほどだなあって私も聞き入っていたのです。