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 彼の印象は良家のお嬢さんの男版でかなりハイレベルの語彙力を持っていた。しかしめっちゃもてるタイプではなく、どっちかというと堅実で目立たないタイプ。結婚願望を真剣に語る彼の言葉に嘘はなかったと思います。私は二人の子供を抱えていることを話します。彼はお気に入りの和風喫茶を最近になって開拓したのか、どうお?って言って来ます。この雰囲気は今まで見た中で最高級の和風喫茶だと思うって自信ありげ。しかし私が勤務のクラブに同伴は頼み辛い。しつこい女だと思われそうで嫌だったのです。ビジネスライクの本能が私を揺さぶります。店に連れて行けないなら、なんのプラスにもならないのよ?っていう仕事本分の私も片方では健在だったのです。ふたつとも間違いなく私ではあるんですが、どっちに傾いてもおかしくない位に、私は演じ分けられた。和風喫茶で彼にこう言われます。僕が本気になりかけているのは君も知る処で、君にもそうなって欲しいとまでは言えない。でも真剣になって考えていることは解ってくれているよね?って。私は深く頷くしかないのです。でも店にお金を支払って君に会いたいとは思わない、そう彼が言ったときに、あたしは本気とビジネスの線引を彼が入店を軸に捉えている点。その正直さに参ったのです。私もそういう彼に反発する胸の内を抱えていました。私を好きになるなら店に来てくれることが本当のファンだろ?って、その認識でいてくれる男性がやっぱり本命だよ?って。未来が見えないだけに難しい線引だったのです。