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 私はどつぼに填まったアヒルのように羽をバタバタさせ、自分のひなを思いやっています。しかし地理的に離れた場所で相手を思うことの歯がゆさ。何でこんな突拍子もないテキサスのような町に来てしまったの?って。道路だけがやけに広い。この田舎度合いは半端ないぞって。しかしそうなったのも自分の好奇心と冒険心が招いたこと。うつむいたままの私に彼は太っ腹な誘いを掛けて来る。この街でサイコーと言えるお魚の煮付けを出している料亭に招待するよって。私の心はのけぞり、今までの心配が吹っ飛んでしまい、彼の顔をまじまじと見つめる。私は食べ物に非常に弱かった。それを見抜いていたことも驚愕だったのです。僕は正直、お金の使い道はない位の忙しい生活を普段はしているんだ、こうして一緒に食事出来る君がいてなんか、感動なんだよねって。お魚の煮付けという発想はこれまで聞いたことがなく、早く食べてみたい気持ちに心は華やいで来るのです。