スノーサファイア・マンss17 僕はお父さんの性格がどこか憎めなくて、男の劣等感が父親をさらなる挑戦に向かわせたものだと分析してしまう。なぜならせっかく戦争が終わって引き揚げて来て、結婚相手の制圧を受けたのがこの父親ではなかったか?それを姉の方がずっと見て来て間違いないでしょうって僕に伝えて来た。男がごり押しする時は自分を全然評価してくれない家族や周囲と長らく渡り合った結果。この辺の心の噴火はすさまじい。誰も自分のことを分かってくれない。しかも低くいつも評価している。こういう男の思いっていうかジレンマは、全員の男性が正に抱えていて、はけ口もないのが実相だろう。男はねぎらいが欲しいのだ。そして高い評価を出来たら貰いたい。そして自分のことを理解して常に励ましてくれることを願っている。しかし戦争の時よりも酷い扱いを受けて、とうとう彼は一発逆転に出た!!とそう見る方が自然だと僕は解釈する。絶対に当選出来ないなんてあるはずがないっていう無謀過ぎる思いではあるが、彼の闘争心に嫁が火を点けたことは否めない。もしも大事にされていつもいつも讃えられていたのなら、夫としての寂しさは皆無だっただろう。僕はこの夫婦を戦後の典型とまで思わないものの、極めて強くなった妻の象徴ではないか?そこを見てしまうのだ。夫を立てるなど全く範疇にはない日常的な妻の言動と行いだ。