ルビー・ウーマンr344 オーナーの見る目は美人を見据える時と、私をいちべつする時は明らかに違っていて、美人なら自分に金銭的潤いをきっともたらすけれど、最初から、こと、あゆみに関しては冷たくて、どんなに頑張ってパーティに行ってお客さんを連れて来てもそんなに喜ばないのです。しかも、時間を守ってね?って結構つっけんどんだったのです。いちげんさんをオーナーは軽く見ているようで、それは商売人にしては唯一、彼の死角だったかもな?って今思います。私が先輩ホステスと二人でひとりのパーティ客を同伴して連れて来た時には、いちゃもんをつけてきたのです。一人で一人の客を連れて来たら同伴になる。ホステス二人で一人を連れて来ても同伴にはしないって。私は商売の厳しさを身を持って味わいます。先輩に同伴の成績は付けてもらい、この飲食業界の下敷きにあるのは一人の店員に一人のお客は必ず要るんだな!!を頭に叩き込むのです。三人のホステスで二人の顧客を喜ばせても潤い的に店側はダメなのです。一人で五人もの顧客を引き連れて来る力のあるベテラン売れっ子ホステスを見ている内にも数式を編み出し、咄嗟に私は頭の中で作るのです。一人のホステスで五人の顧客を連れて来るのが最大値と据え置くと、どんどん数式が出来てきます。一人のお客も連れて来ないホステスは数字的に法則的に、干されてしまいます。ヘルプという格好の役目は皆を助けたようで、実は売れないホステスを救っただけの策とも言えるのです。