スノーサファイア・マンss5 タヤにとっては黒船が来たみたいに、恐ろしかった嫁の考え方ではあったが、最初の嫁は従順で合格点を出せる嫁だったのだろう。周りにいた人々にも後に姉は訊くのだが、誰一人として、最初の嫁の悪口を言う者はなく、子供が生まれたけど亡くなるという経緯もあり、タヤがお暇を出したのだいう。僕は男尊女卑の考え方だといちがいには思わない。タヤにはタヤの思う処がきっとあったのだ。男の子が絶対に欲しいタヤの目は空を飛ぶ鷹の目よりも鋭い眼光で、周囲にプレッシャーさえ与えるものだった....と。しかし御目出度いことに、弟の出現でタヤの希望が叶って、確かに触らせてはもらえないけれど、二階にいるんだという感覚だけでタヤは十分だったのではないか?って僕も希望に替えていったタヤの気持ちの有りようにただただ、ひれ伏す。タヤの男の子への気持ちの強さは異様で、こういう思想自体、戦後はなりをひそめていったと僕は自分の感想を持ってしまう。男であることが微笑ましいものではあっても、絶対ではなくなったことは戦後を語る上では必須かも?って。しかし誰から教育されてどう育ったのかはタヤ一人を見ても明白なように、まるで黒船の出現のように、洗礼を浴びて、近代化を感知し恐ろしい気持ちになったタヤが、嫁を評価している点があったとすれば、大佐の家で育てられたという家風だっただろう。どんなに今、現代風にアレンジされている嫁だとしても軍国少女であった形跡はあって、ものの見事にタヤは軍人の香りを嗅ぎ取っていた。タヤの信頼をわがものにしている自信が嫁の方にもあってその辺だったのでは?と思いを巡らしている処だ。