イエローダイヤ・マンyd716 普通の人のくしゃみなら、はっくしゅむなのに、その女性はぷーーーと威勢のいい男のような音を発する。僕はおしっこをちびりそうになる。小柄なトランジスターグラマーな女性なのに、くしゃみだけがそこいらの土方のおっさんで僕は尻すぼみしてしまう。二歳下で幹部のお嬢さんということで時々運転手としてご用が掛かり、最初は映画の話で盛り上がっていたりしたが、やがて段々解って来る。何でも人のせいにする攻略に優れているのだ。例えば僕が三分遅刻してくる。そこで道路に猫の死体があったら嫌だわ~~貴男が遅れてきたからこんなもの見る羽目になったって。僕は背筋がキュイーーンって鳴る。まさか、何でも悪い方に獲るあの輩なのか?って。飲み物に虫が入ってたら明らかに店が悪いがこの手の人間なら二度とは店には行かないだろう。僕等はそういった懸念がゼロで肝っ玉は小さいけど、人の善を限りなく信じる方だ。仕方無くあっちも運が悪かったに違いないと大きな気持ちにすぐなれる。それがこの女性の場合ないのだ。いや、断言まではすまい。僕は寝食を共にした訳ではない。もしかしたら夜ぐっすりと睡眠を採れた後なら快調なのかもしれず、そこは大目に見たいなって寛容にもなる。彼女にもしかし長所はあって勘が犬の臭覚みたいにズバ抜ける。消費税増税はどうやら止めるらしいわよ?って僕にフェイントを掛けて来る。さらなる人気構築の為にならこの政権は何でもやるわよ?って。嬉しいしそうなってくれれば御の字だろう。