ルビー・ウーマンr302 微妙な立ち位置の私はそれ以上聞くことも憚られてトイレに行く。そしてじっと鏡に映る自分と対峙するのです。このフロア人数にしては小さ過ぎるトイレでお客様と共用だったのです。ここにもひとつのジレンマはあって、そういう困難の時に固定電話のある玄関口に行き私は深呼吸するのです。ミニエントランスです。今で言う命名責任のようなもの?って。命名権利がしかしあの時点では面接した部長が握っていて私は明美にしようって心で思っていたのに、向こうがあゆみさんがいいのでは?って打診して来たという経緯。そんな裏があったとは露知らずの私でしかし待てよって思い直すのです。このホステス達の言いたい放題です。どこにも見られない自由気ままさ。それを言うことで誰が傷を負うなどお構いなし。逆に気持ちがいいことにも覚醒するのです。ここまで言える環境は滅多に存在しないぞって。確かに言われる身は辛い。そこを穏便な思想で包んで敵と適度に切磋琢磨出来れば面白いじゃないか?って。いっぱしのやる気も同時に芽生えていたのが信じ難いけど本当だったのです。私のことをアレコレ言うのは彼女たちが私を眼中に置いているから?とも分別するのです。どうでもいいなら話題にしなきゃいい話。そして恐るべき発見も同時に包括していたのです。真相がたとえどこにあっても自分が関与という美味だったのです。