イエローダイヤ・マンy624 余興の度に注目を浴びる同級生がいた。普段は目立たないのにその時になると全く別人か?という位かっこ良くて僕達の自慢だった。シンガーソングライターを彼は目指していてその体育祭が終わった後、僕の通った高校では花火が打ち上げられてステージが作られ、そこで自作の曲をみんながうっとりして聞くのだが、思い出すたびに僕はそういう芸当が出来る彼が羨ましくてたまらなかった。もちろん一曲はみんなが知っているような曲も披露して作詞作曲した自分の歌へと移行していく。引きこみ方も旨い。トークも洒脱でついつい笑ってしまうようなことも即興で言ってのけて僕達の心を和げる。それを聞きながら僕は学校であれ、みんながある程度の緊張の糸がつんと張っているんだな?を再確認した。そこを察知し事前に解きほぐす彼の話法はまるで、心の整骨院のようだと恍惚となったものだった。彼は思い通りの人生を過ごす為に大学も途中で中退し、その後はアルバイターをしながら音楽も並行して地道にステージもこなして来た。風の便りは定期的に入る。僕達は心のどこかでまだ、期待を捨ててはいない。彼が表に出て来る日。その日が必ず訪れる!!と友達誰もが信じ切っている。彼は体育祭の後のステージで僕達に印象付けることに成功した。人生はバラエティーに富む余興だということを.......。ゆえ、何が出て来ても驚かない。