サファイア・マン《かけがえのない男編》〔194〕病室に着くと私はすぐにも窓辺に近寄り中洲を見渡します。この川があって、博多が天神が輝いているんだなって。先生は何も心配はありませんよ?って心を砕き説明して下さる。応援の医師もいることを強調されて私にはこちらからもう質問はないにも関わらず、あることをやはり医師として気に掛けておられた。それは後になって解るのです。ちょっと早めにこちらへ来て頂いたのもそれがあったんですと言われた理由で、今の医学事情とはちょっと異なるその頃だったのです。今ならパソコンで病院同士が医師同士が情報を即座に伝達し共有出来るけど当時はまだ一般家庭にすらパソコンはなく、病院もまだまだ。私の赤ちゃん育成の経過報告が不十分だったのです。宇部の病院でも紹介状など書いてもらってはいません。ただ、先生の快諾には理由があったのです。この病院で三年と九ヶ月前、先生の執刀で帝王切開手術をしている!!という事実です。もしもそれが無かったら、しかも遠い宇部からの入院で、先生にも迷いは生じたと思うのです。嬉しいのは僕の方ですよ?と先生が言われるのです。私はお腹がぎりぎりまで大きいのでもう肩で息をしているのですが素直にお気持ちを言われるのです。僕の病院を選んで下さったことが僕にとって何かこう、報われたような気持ちで今いるんです。