アクアマリン・マン《真春と真秋の間編》〔33〕ニートの需要が倍増しになる未来予想図がテレビで解説、俺も久し振りテレビに釘付けになる。これまで冷飯食いが通常だったニートが最高の条件で働く未来が取り沙汰されていて、司会者の顔を見ているうちに俺は段々腹が立って来るのを禁じえない。ニートが暇人で健康だけが取り得で、いつでも職に食らいついて来るとそう思い込んでいる姿が、実に浅はか。ニートほど、腰が重いことを十二分に知る位置にある俺はこれなら、俺の方が未来予想図は緻密に描けるな!!と実際ほくそ笑んだ。こういう具合には行かない。ニートは働く機会を失っている訳ではないからだ。むしろプライドの塊を豪語するニートは虎視眈々と場数をこなし学習している。本を読むだけでは到底駄目で、そこを自分の足で稼いでいる。目立たないけれどほぼ全員が仕事をパートでこなし地味だがその職種を見て行くと今まで目にしなかった業種も沢山ある。例えば定点観測だ。この仕事は確かに目立たないけれど時給も確実に貰え、している本人も人には中々話さない。いい仕事にありついてはいないように見えるニートだが地下での動きは喧しい。お金を得ないといけないのは他ならぬ自分で、働かないと食っていけないことを最も知るのが純のニートである。濁点を付けるとニード。時代の要請にも答えられるように準備は万端である。