ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔242〕新大工町の玉屋デパートの前にある菱重興産パーキングで下る時、早く左ハンドルを切ってしまい、自爆してその惨めな左のドアの傷にがっくり来ます。彼に連絡して、すぐ来てもらって、息咳切って伝えても、彼はちっとも驚かないのです。なぜ?変な男!!って思いはテッペンまで昇って来るのですが、彼はへっちゃらな顔でこう言うのです。この車は試乗車で、まだ買うかどうかは決めてはなかった、だから、破損しても保険があるから大丈夫、何も心配要らないよ?って。ようちゃんは自分がさらに惨めになるのです。幾らくらいの賠償金かを想像して熱くなって怯えていたし、両親に、どうやって切り出せばいいかを焦っていた。それなのに、彼はなんて凄いんだろう!!って。一緒に保険代理店に謝罪に行きたいから、一緒に来てくれない?って言われ同意するのです。行かないといけないから、そうしたのではなく、保険代理店でありながら車も販売しているその商売のからくりを観れるのが嬉しかったのです。代理店の男性は優しくて口も達者で、傷の度合にはびっくりはしていたけど、免許を取ったばかりということもあり、許してくれるのです。彼はフィアンセだよ!!とようちゃんを紹介したのですが、その時、違和感がなかったのです。自分では家族のようにどこかで気を許していたのかもしれません。