サファイア・マン《かけがいのない男編》〔185〕材料は全部揃っているのに、まだようちゃんは調理に移せないコックのように、何かが足りないな!?とそう思います。自分の人生を綴じるだけでは、それが用を足さないことが次第に分かってきたのかもしれません。今ある材料だけでも存分の刺激的日常が混在しているのに、まだ、何かが足りないとそう直感してしまうのです。男性と女性のそれぞれの頂上が違っていることでした。ようちゃんは、天下という二文字を頭に正座させます。女性がこの二文字を使用することは滅多にないことで、かかあ天下ならよく耳にしたけれど、この天下を獲るという言葉にまず、自分だけは関連していよう!と、そしてそれを命題にするのです。まるで、雲を掴むような話かもしれませんが、そういう離れた位置にあることが、安全でもあったのです。主婦が政治や経済を話すことはチャンスさえないでしょう。しかしあえて、そこを捉えたい!!と。捉えることが出来る位置にある自分を誉に思ったのです。夫はとっつきにくくて、一緒にいても、全く安らぎも感じさせない頑固者でしたが、ようちゃんは伯母の言葉にヒントを貰うのです。ここまでの人生であんなに素晴らしい心を持った男を見たことがない!!と伯母は言ったのです。