サファイア・マン《かけがいのない男編》〔183〕その時期にようちゃんに押し寄せていた人生の滑走路は、まず、どの線からクリアすればいい?ってそこまではわかってはいたものの、このまま、伯母や夫に頭を下げるのでは将来に繋がらないとそう、奮起していたのです。もしもその時に、頭を下げて彼らの言う通りの人生を歩んでいれば、今のようちゃんの座標はありません。しかしお金を出してもらうのに、何の約束事も担保も提示しない彼らではない。見返りや今後の生き方やようちゃんの所作についての色々な注文があっただろうし、彼らもそこまでの大金を出してやるからには、大きな賭けに出ていたことは言動から徐々にわかって来たのです。伯母はまるで、夫の代弁をするかのように、かしまし娘よりも、大阪のおばちゃんの威勢よりももっと激しく、ようちゃんに鼻息を掛けて来たのです。また再度、私の母をけなし始めたのです。聞いている私にも限度はあって、腹立たしさを通り越して、クールになっていく自分自身も見えて来たその頃でした。生命保険会社の女性、以前、ショートケーキを持って来た彼女の訪問を受けるのです。転勤が三年で決まらなかったから、次、八月で決まると思う!!って話すととても残念がるのです。お盆の頃にはいなの?って。彼女は大事な相談を抱えていたのです。