ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔237〕一番真っ先に、成績のいい生徒には敬意を払う教室での教師のように、私も勉強が人生で最も重要なことは理解していましたが、物語の旨みに気がついていたこともあって、勉強だけでは要領を得ないことに敏感だったといえます。例えば私のみが知っている経験や言葉。それを会得するチャンスは皆に同様に与えられてはいるものの、耳を澄ましていなければ決して自分のものにすることは出来ない仔細に及ぶのです。お金持ちの子供にほぼ日々の苦悩はなく、貧乏の子供にはいつも腹が減るという難関が立ちはだかっています。一体どっちが人生を旨みのあるものにするのでしょうか。ようちゃんは富裕層のエイミーと貧しい千鶴ちゃんが毎日まったくかけ離れた生活を送ることを傍目にして、もしもエイミーに難関が立ちはだかってくるのなら一体なに??って。ようちゃんは六年生の秋の普賢山登山を忘れません。ちょうど中腹まで登って皆でお茶を飲んでいたら、エイミーの家の人が迎えにくるのです。今すぐに山を降りて家に帰りなさい!!あなたたちも良かったら山を登ることは止めて一緒に下山しましょう!!ようちゃんはエイミーのお母さんが亡くなったことを知り心臓が止まりそうになるのです。数日前、文房具屋にお邪魔したときは、元気に対応して笑顔を浮かべていたからなのです。