サファイア・マン《面白い男編》〔179〕私がチャンスで目押しを出来ない時には周囲の皆が我こそはと決まって助け船を出してくる。これは当時目押しなど店員の介助が無かった時代ですから、相当に助かるんですが、実はそうやって助けられていてばかりでは伸びないし、いっこうにセブンを揃えることなど不可能で、ようちゃんはしかし周辺が助けようとしてくれた時には一回も断ったことがない、それくらい有難かったというのは本音でした。人生には時間が少ないことも同時に知ることになるのです。そこで目一杯スロットへ時間を投入出来る人々も時間帯が決まっていて、朝のグループは大体四時くらいまでいて、夕方から来るグループは夜の九時十時くらいまではいるっていう感じで仲間の話を耳だけで吸収した情報ですが、これには真意が実沢山に詰まっていたのです。誰しも時間やお金に余裕有る訳ではなく、その競技に嵌った人々が独自の案を持って参加しているのがスロットであるとの了承をみずからに入れたようちゃんは、ラクダを見ながら魂が安らぐのを感じるのです。この音響にも実は魅せられていたのです。どこにもないような緩やかなテンポの音響の効果でらくだと三日月を見ている時に、ようちゃんはもっと人生に時間があったらなあ....って溜息をつくのです。