イエローダイヤ・マン《標榜編》〔470〕間一髪の試合で宮原が逃げ切ってくれれば?!って俺は最後まで祈ったが、これが世界の壁なのか?って次々宮原を抜いて行った海外勢に俺の心は待ったなしの気持ちになる。坂本も十七歳とは思えない素晴らしい表現力で誰もが未踏の地だった、神秘的な音楽を背景にし思いっきり滑ってくれた。アリーナ・ザギトワの十五歳の圧巻も世界を魅了するに足る堂堂の演技で俺は神的だなあって、感動した。身のこなしが柔らかでしかもメリハリがあって熟練している。並の選手ではないことが最初からわかってはいたものの、宮原のことを思うと俺の心は張り裂けそうだった。こんな順番ならプレッシャーは海外勢にある!!と俺は出番の速かった宮原の優位を思ったが、それが彼女達にとってはへの河童だったことが恐ろしい。宮原の心はあくまでも自分のすべてを出し尽くし何も悔いなどない!!という強い表情だったが、それが正しく俺の情を揺さぶった。会ったこともない選手に、まるで気持ちのすべてを牛耳られている俺の当惑は、坂本選手にも及んで行く。彼女の演技は魔法がかかった妖精のように美しく神秘的だった。一回だけよろけそうになったものの重心をずらして見事に修正してきた。氷上の大器、十七才の今後が俄然楽しみになる。