イエローダイヤ・マン《標榜編》〔460〕俺は罪深い男だ。年上愛に溺れてしまい、文才がないゆえに強攻したのがメール作戦で、それも午前八時きっかりに送ったのだ。傷つけた貴女に今告げよう、誰よりも愛している......一かバチだった。もしも相手がこの歌を知っていて、グレイのタクローさんが書いた詩だと知っていたならこの恋は終わるしかない。盗作だからだ。しかし俺はこの一行に人生を委託して賭けに出る。相手は全くハウエバーという楽曲さえ知らず、グレイの存在さえ知らない様子で次に何という文言を俺にメールして来るのか?それが俺の心のパーセンテイジを占めた。彼女は感無量だったのか、何も返信してはこない。しかもその日を境に俺に対する態度は一変してしまう。年の近い本当の恋人同士のように全部の心を開いてくれるのだ。俺は罪の意識にさいなまされて、そこに束縛されない為に、割と早い段階でぶっちゃける。ごめん、タクローさんの詩を引用したんだ。すまなかったって。彼女はもはや笑顔だった。それを聞いても驚かない時間が経過していて、なんら対処が出来ない処にいた。いわゆる引き返せない場所。俺は恋愛にもそういった不滅のスポットがあることをタクローさんに学んだのだ。