このままでは、競売の措置になりますという内容の手紙が、昨日区画整理事務所から来て、恐らく義父の家はその手続きに入るだろう。矢上神社初詣にマサトを連れて行き、大吉を親子が引く。娘も久しぶりの大吉であいつが四十一番、娘が十一番。最高位にある鳥居の写メを撮る二人の笑顔が俺の胸に刺さった。実家は近いうちに無くなるというのに、まだ、神社では伝えてはいなかった。もしも、俺に大金があったなら、売らずに、コインパーキングにしただろう。俺の家の前のパーキングもそうだが、中々クルマの駐車場の空きがなく人々は困っている。歩けばパーキングあるにはあるが結構遠く感じるのだ。矢上神社の楠の木も、こじんまりとして、かつての威風堂々は見られない。義父が一階の仏間で、原稿用紙と向き合って何かと悪戦苦闘していたことを、俺は忘れることはないだろう。ここに和田家があったことさえ、人々の脳裏からいつか忘れ去られていくのだろう。娘からなぜ、早く言わないの?って後から叱られる。和田家の今の姿を写メに収めたかったらしい。デルスカイしておこう。楠の木は残った!!