サファイア・マン《かけがいのない男編》〔164〕その文面にはお願い事項として、週一スーツを着替えたいから、ずぼんと上着を、玄関ノブにカバーを掛けたハンガーで吊るして欲しいというもので長期戦になることを彼自身納得していた。その事がようちゃんの心を真綿に包むように温かい気持ちにさせていて、彼は立腹などせず静かに妻の審判を待つ、そういう極めて良好な態度。それを見て思ったのは、彼は性善説の人間なのでは?という判別。ようちゃんはどこかで彼を試していたのかもしれない。彼がかなり切れてドアをどんどん叩いたり、怒って辺り構わず大声を上げたり、そういう男ではなかったのです。鬼がわらか~~ようちゃんはやっと自分がその面相を取得したことが嬉しかったのです。相手は完全に部屋に入れなくなり覚悟を決めたかのようだ。時間を掛けてようちゃん説得に掛かろうとしていた。鬼がわらは最初まさお君が自分の義理のお母様を指す時に使っていた言葉で、まさお君のお父様は宇部市のパン屋でアルバイトする姿に惚れて嫁にした。しかしまさお君は思春期で猛反発したんでしょう。まるで鬼瓦ような顔が大嫌いだ!!っていう言葉が頭に焼きついていたのです。