サファイア・マン《面白い男編》〔163〕カチャとが音がして鍵穴が動きますがようちゃんが、もうひとつのリビングに行く為のドアの向こうで待機していたのも当然で子供達の心を傷付けないようにビデオを和室の寝室ではない方で見せていたのです。このマンションは50㎡近くあって、ベランダも入れるとゆったりしていて、しかももうひとつのドアが無かったらこういうことには及べなかったでしょう。彼が家の主なのです。外から何回もタダイマ!!タダイマ~~と呼ばれれば通常開けてしまうのがおちで、ようちゃんは敵もさるもの、しかしここは去る者にしなければと決死の攻防に出ていたのです。彼は数分はいたものの帰ります。そして電話が掛かってくるだろうとの予想は完璧に外れて、掛かっては来なかったのです。これは、何か自分が悪いことでもしたのかな?って猛省しているのでは?とついつい嬉しくなって可哀そうだったかも?って悩むのです。しかしそういう情が深すぎることがようちゃんの欠点、今はそういう性質は全くないですが、当時はまだ、若かった。そして今よりも遙かに純粋だったのです。