サファイア・マン《かけがいのない男編》〔163〕そうはいっても何も起らないまま、追い出すことになれば後後禍根を残すかもしれずそのタイミングを計っていたときです。そういう時に限って中々敵も失敗はしません。失言もないのです。ようちゃんは追い出そうとしても出来ない自分の優しさを恨みます。そしてあることに気が付く。ドアチエーンです。これさえ掛けておけば入ることが出来ない。なんでこんな簡単なことが思い浮かばなかった?って。そしてある日、金曜日の午後、審査部に電話を掛けるのです。私ひとりで、じっくり今後のことを考えようと思っている。そ、それで??今日から暫く家にドアチェーンが掛かってるからその積りでね?シゲルちゃんは何か言いたそうでしたが、ガチャとこっちから切ってしまう。こうしていれば帰宅自体を回避するだろう。辛いことです。しかしこれ位しなければ男は平気のへいざで、日常をくぐり抜けていく!!ようちゃんには迷いは無かったし、本当に別居生活の方がいいとその時点で判断した結果だったのです。彼はしかし帰宅して来るのです。怖いっていうかそこで鬼がわらの顔が出来ない自分が、情けなかったのです。