サファイア・マン《面白い男編》〔159〕お灸は十分に据えられただろうか・・・。それとも請求書が混じっていていきり立っている?彼の動向が知りたくなるし、しかも帰りのタクシー代さえなくなって、ようちゃんは我に返るのです。そろそろ家に帰りたいよ!って上の子達が言って来て潮時を迎えます。固定に電話して居所を伝えると彼は新年初出勤日だというのに飛んで来ます。お金がなくなった・・・という弱みにつけこむ形相がリッチで、金を拒む理由はないので歓待したのです。ベッドふたつを見て、広々した部屋を見て、これで9800円は安いな?って驚くのです。ふたりずつゆっくり眠れるし、一階には無印があるのです。帰りに三輪車買いたいんだけど?彼は無印代を払ってくれて、しかもおこずかいまでくれるのです。シェーバーをたっぷり付けて鬚を剃るだけの時間いただけで、こうまでフレンドリーになれるのもお互いが心に惚れて結婚したから。でも両者が抱える病魔は、彼が家庭的優柔不断、そして私が破天荒な金使いの粗さ。このふたりは三十年持ちこたえるなど全く予想していません。