エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔48〕里子には不思議な感覚がありました。自分以外のもうひとりがいること、パソを叩きながら川柳を考えているのです。自分の中の性質上の己とは異なる人物の存在は小まめにアドバイスさえしてくれるのです。パソコンのサイトの立ち上げよりも今重要なことが勃発していてその為にボーナスを貰うことを一旦諦めてしまうことを示唆されるのです。そうなればどういう布陣を組むわけ?その質問にも速やかに回答してくる心の中の同胞は、会社と自分の関係がこれ以上に密になるよりも、もっと自由な世界を目指すことの意義が迫っていて最優先とまで言ってくるのです。川柳の草分けのような人物を目指すのなら、自分の時間や発表する機会を削いではいけない・・・と。そこまで明言されるとやはり鑑みるのです。自分は単体ではないな?との不可思議な異の世界です。誰かがあたしという人間に肩入れしたくて、うずうずしている…いったい全体誰なのだろう・・・。そして政治川柳を開帳する前に町民の暮らしにも相当する貧者清貧の心理に及ぶのです。政治の世界に踏み込むよりまず、庶民の生活にタイムトリップする方が先!!誰もが政治に希望を抱けなくなる前の、特効薬みたいな効果も実はあったのです。